2014年3月1日土曜日

「サヨナラ」ダケガ人生ダ

唐代の詩人・于武陵(うぶりょう)の作で
「勧酒」と題された五言絶句がある。

この五絶に触れると、領土や政治の問題で一筋縄ではいかないながらも
中国という国の凄さと、それを解釈する日本人の感性について色々と考えさせられる。

日本では「山椒魚」井伏鱒二の訳が有名だ。
原文と書き下し文、井伏訳を順に並べてみる。
以下のサイトから転用させていただいた。

http://homepage1.nifty.com/yasuki-a/toku-kanshu.html

はじめに、原文と書き下し文。

勧君金屈巵  君に勧む金屈卮(きんくつし)
満酌不須辞  満酌辞するを須(もち)いず
花発多風雨  花発(ひら)けば 風雨多し
人生足別離  人生別離足る



これだけだとピンと来ないが、それでも
和訳された途端に文字が躍動しはじめる。


君に この金色の大きな杯を勧める
なみなみと注いだこの酒 遠慮はしないでくれ 
花が咲くと 雨が降ったり風が吹いたりするものだ
人生に 別離はつきものだよ




これに対する、井伏鱒二の訳。
完全にノックアウトされた。


コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ





実は、このフレーズを識ったのはここ一年ほどの話だったりする。
生涯の戦友が教えてくれた。
いや、もしかしたらどこかのタイミングですれ違っていたかも知れない。

けれども、なぜか今になって「あ、これだ」と訴えてきた。



今年は色々な「サヨナラ」が訪れる。
そして今もいくつかの「サヨナラ」に備えている。

0 件のコメント:

コメントを投稿